トラブルを防ぐための契約上の注意について教えてください。
→こうした質問にお答えします。
口頭での受注や、契約書なしの追加発注などは、トラブルのもととなります。
契約締結や契約履行の注意点をアドバイスします。
ナカムラリョウ
目次
1.契約書作成上のチェック6項目
まず口頭のみの受注は極力さけ、契約書をかわした後に、仕事に着手することを原則としたいです。
ただ急ぐ仕事の引き合いがあり、正式な契約書を交わす時間的な余裕はないけど、どうしても受注したい場合なんかもあるでしょう。
ただこんなときでも、相手先担当者がサインあるいは記名、押印した書面をFAXやメールで送信してもらうなどした方が、口頭のみで証拠がないまま受注するよりはいいので、心がけましょう。
ナカムラリョウ
1−1 契約名義
相手先の契約名義が、権限を持った人(代表取締役、支店長、支配人など)になっていますか?
権限のない人の名義は、無効となってしまいます。
1−2 印鑑の有効性
押してある印鑑は有効なものですか?
とくに多額の契約は、印鑑証明書を添付してもらいましょう。それができなければ、従来と同じ印鑑で押印されているかを確認しましょう。
1−3 要件の明確さ
商品の名称・型式・仕様などが明確に記載されており、商品代金が記入されていますか?
金額欄が空白の契約書には、間違っても押印してはいけません。
1−4 履行可能な契約
商品の引き渡し時期などに、無理はないですか?
天変地異や極端な悪天候の場合は、契約履行が遅滞した場合の免責条文があることが望ましいです。
1−5 支払い方法
商品代金の支払時期、現金支払か手形支払(サイトも含む)か、などが明記されていますか?
お金の受け取り方について、はっきりしておきましょう。
1−6 不利な契約内容
相手先に著しく有利な契約解除条項はありませんか?
自分が不利にならないような、対等な契約を結びたいですね。
契約書の作成上の注意点として、これらの6項目を確認してみてください。
もしこれらの内容に不安がある場合は、いちど法律専門家のチェックを受けてみましょう。
2.契約の履行に関するアドバイス
つぎに、契約したあとについての留意点です。
契約書または、それに準じる書面がない場合は、商品代金の減額・未払いなど契約履行に関してトラブルがおきることがあります。
また、追加の依頼に口頭で応じてしまい、あとで回収ができない場合もあります。
このようなときは、見積書、納品に関する書類など、証拠力があるものを揃えて、契約先との交渉により商品代金の交渉に努めるほかありません。
でも、必ずしもこの方法が決め手になるとは言えません。
もしトラブルが生じた場合には、法律の専門家に相談しましょう。
3.下請取引
仕事を依頼する側の「親事業者」が、下請事業者よりも優位な立場にあることがよくあります。
その優位な立場を利用して不当な取引が行われないように「下請代金支払遅延等防止法」というのが定められています。
この法律では、次のような親事業者の義務と、禁止事項が定められています。
親事業者の義務
a.書面交付の義務
b.書面の作成・保存の義務
c.支払期日を定める義務
d.遅延利息の支払いの義務
親事業者の禁止事項
a.受領拒否の禁止
b.下請代金の支払遅延の禁止
c.下請代金の減額の禁止
d.不当返品の禁止
e.買い叩きの禁止
f.購入利用強制の禁止
g.報復措置の禁止
h.有償支給原料等の対価の早期決済の禁止
i.割引困難な手形の交付の禁止
j.不当な経済上の利益の提供の禁止
k.不当な給付内容の変更および不当なやり直しの禁止
この法律の詳しい内容は「中小企業庁」のホームページで確認しましょう。
4.トラブル時の相談先
トラブルが起きてしまった場合に、具体的な解決をおこなう専門家は弁護士です。
国が設立した、法的トラブルの総合案内所「法テラス」で、無料相談が活用できます。
また下請問題に特化し、匿名でも相談できる相談窓口「下請け駆け込み寺」というものも用意されています。
トラブルがおきたときは、こうした制度をうまく利用して、トラブルの解決に努めましょう。
まとめ
法律問題の相談窓口はいくつかありますが、いちばん良いのはしっかりとした契約書を結び、トラブルに至らないことです。
ナカムラリョウ
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