特許をとった方がよい場合と、とらない方がよい場合があると聞きます。どうやって判断したらいいですか?
→このようなご相談にお答えします。
・特許をとるときの注意点がわかる。
目次
1.特許をとるまでの流れ
順に解説します。
STEP.1 先行技術調査
まず「先行技術調査」といって、自分の考えたものと同じ、または似ているものが既に申請されていないかを調べる必要があります。
これは特許庁の「特許情報プラットフォーム」で、検索することができます。
参考 J-PlatPat[特許情報プラットフォーム]独立行政法人工業所有権情報・研修館
もし同じものが既に出願されていたら、残念ながら自分が考えたものは「権利」にならないので、その場合はあきらめるか、さらにアイディアを進化させて他とは違うよ、という「新規性」を持たせる必要があります。
STEP.2 出願
次に出願です。
思いついたアイディアなどを「明細書、図面、要約書」などにまとめて、特許庁に出願を行います。
いまは出願の多くがインターネットをつかった「電子出願」で行われています。
特許庁の「電子出願ソフトサポートサイト」に詳しい電子出願のしかたが解説されています。
また書面でも出すことができます。
願書の書き方は「特許出願書類の書き方ガイド」に載っていて、申請の様式は「各種申請書類一覧」にあります。
また申請するときの費用は印紙代として15,000円かかります。
そして出願した内容は、出願から1年6ヶ月後に特許庁が発行する「公開特許広報」に自動的に掲載され、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を通じて広く公開されます。
STEP.3 審査請求
出願だけでは、特許として登録されず権利も生じません。
特許として登録することを希望する場合は、出願から3年以内に「審査請求」をする必要があって、それを行わないときは出願を取り下げたものとみなされます。
審査費用は「138,000円+(請求項の数×4,000円)」かかります。
請求項とは、特許を請求する「範囲」のことで、多ければおおいほど多面的な権利の保護をすることができます。
また現在は、審査請求をしてから実際に審査を開始されるまでは1年弱ほど待たされるそうです。
ただし、中小企業・個人事業主は一定の条件を満たすと「早期審査制度」が利用でき、3ヶ月ほどで審査が開始されるようです。
早期審査にあたっての、特許庁への追加の手数料は生じません。
STEP.4 登録
いよいよ登録です。
無事に審査を通過した出願には、登録料を特許庁に納めることで「特許証」が交付されます。
その後も、毎年の特許料を払い続ければ特許権は継続しますが、出願から20年経つと特許権は消滅します。
1年目〜3年目の特許料は毎年2〜3千円程度ですが、年を経るごとに増額していく仕組みになっています。
2.特許をとるときの注意点
はやく権利を保護したいという気持ちがあると思いますが、自分のアイディアに特許性があったとしても、すぐに特許出願していいというものでもありません。
なぜなら、出願した内容は1年6ヶ月たつと自動的に公開されてしまうので、ノウハウが盗用されたり真似されたりする恐れがあるからです。
またアイディアを製品化したとしても、特許の取得や権利維持にかかる費用をまかなうだけの利益が得られないケースもあります。
このような理由から、企業によってはあえてアイディアを特許化せず、自社のノウハウとして外部に一切公表していないところもあります。
特許を取得するときは、次のような点をよく検討し判断しましょう。
2−1.特許侵害の発見しやすさ
特許を侵害するような製品を他人が製造販売したときに、きちんと発見することができるか?
もし発見が難しいようであれば、特許権を取得しても実際には権利を行使できないことになるので、特許権を取得する必要性は高くありません。
2−2.真似のしやすさ
製品化して広く知られたときに、他人が簡単に真似できるものか?
もし他人が簡単に真似できるのであれば、ノウハウを守る手段として特許による権利化は有効です。
2−3.特許の逃げ道があるか
特許権をとったとしても、内容をすこし変えれば特許権を回避できる可能性があるか?
たとえば料理のレシピなどは、多少組み合わせや配合割合をかえることで、特許権を回避しやすくなります。
こういうものは、外部に開示しなければ誰も真似できなかったのに、特許化して開示することで真似されてしまうこともあるので、慎重に検討しましょう。
2−4.特許を取得、維持するだけのメリットがあるか
特許権の取得、維持には約20万円以上の費用がかかり、特許に関する専門家である「弁理士」にお願いすると更に費用はふくらみます。
製品化したときに、これらの費用を上回るメリットが期待できない場合は、特許化してもあまり意味がありません。
そもそも製品化する意思がない場合、特許化する意味はあまりないでしょう。
3.特許申請は自分でできる?
特許申請の手続きは自分でもできますが、しっかりとした書類を提出できなかったら、出願が拒絶されてしまい、費用が無駄になってしまいます。
一度出願すると、特許の内容がいずれ公開されるので、再度出願しても特許を受けることができません。
また特許の権利の穴が多くて、結局意味がない権利になっているものも多くあります。
「知財総合支援窓口の無料相談」は、国が設置した特許や商標など「知的財産」に関する相談窓口です。全国に窓口が設置されているので、無料相談を利用してみてもよいでしょう。
また、特許の専門家「弁理士」が所属する日本弁理士会が運営している「弁理士ナビ」で専門家を探すという方法もあります。
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