【7講目】お店の売上を上げたい時は、売り場を整えようという記事では、数あるお店の中から「あなたのお店」を選んでくれた「お客さん」をおもてなしするために、
・整理整頓
・飲食店の場合:メニューブック
・小売店の場合:レイアウト・陳列
・手書きPOP
を有効に活用して、お店を見直すポイントについて解説しました。
まだ読んでない方は、ぜひ読んでくださいね。

飲食店のメニューブックや、小売店のレイアウト・陳列を考えるときに、同時に考えるのが商品の「価格」についてです。
8講目の今回は、この「価格」だけに的を絞って考えてみたいと思います。
価格決定の重要性
価格は、高過ぎれば商品は売れなくなり、低過ぎれば売上が下がってしまいます。
お店の売上・利益を考える上でとても重要な要素にも関わらず、でも安易に決めてしまっていませんか?
まずはなぜ重要か、その理由を確認しましょう。
価格は簡単に上下できない
一度決めた価格は、簡単に上下できません。
価格を上げてしまうと、客離れにつながることもありますし、価格を下げてもお客さんが増えなければ、すぐに収益を圧迫します。
お客さんが増えないからといって、またすぐ元にもどすわけにもいきませんよね。
価格はお客さんへのメッセージ
価格は、お客さんへの重要なメッセージです。
100円ショップでは、あらゆる商品を100円という価格で販売することで「安い・手軽」というメッセージを発信しています。
デパートのブランド店では高級な商品を揃えて高い価格を付け「品質の良さ・高級感」をメッセージとして発信しています。
もし高級ブランド店のバッグが100円で売っていたら、そのブランドが好きな人はきっとがっかりしますよね。
どういった商品を、どのくらいの価格帯で販売するかは、すべてお客さんへのメッセージなんです。
価格競争をなるべくさける
同じような品質・ボリューム・性能の商品を競争相手(ライバル)が提供していたら、どうなりますか?
お客さんは、きっと安いほうを選びますよね。
じゃあそれに負けないように、あなたも値下げをしていく…となると、価格競争のはじまりです。
あなたが提供しているものは、なるべく価格競争に巻き込まれないようにしたいですよね。
ここでしか食べられないものや、買えない商品、得られない価値があれば、価格競争になりにくいです。
かといって珍しい商品ばかりを集める必要はありません。まったく同じ商品だとしても、たとえば表現の工夫ひとつでこのように変わります。
- もつ煮込み
- 弱火でコトコトひと晩煮込んだ、もつ煮込み
当然2番のほうが独自性があって、価格競争に巻き込まれにくくなります。
価格の決め方
価格の決め方にはさまざまな方法がありますが、大切なのは「できるだけ高い」価格設定をするということです。
原価積み上げ型
もっとも一般的な価格設定の方法です。材料費や経費など、かかった原価に必要な利益を上乗せして価格を決定するという方法です。
売れれば確実に利益が出ますが、競合の状況や、商品がどれだけ求められているかといった需要を考えていないため、実際のお客さんのニーズとマッチしないこともあります。
市場バランス型
他の競争相手・競合店が設定している価格をもとに、お店の価格設定を行う方法です。競合より優っているとおもったら、より高くしましょう。競合に優っている自信がなければ安価に…ではなく、改善して競合と同じレベルまで持っていきましょう。
ナカムラリョウ
他にも、自分がお客さんだったらいくらなら買うと思うか?お客さん目線で価格を決める方法もあります。
このお客さんの心理について、もう少し詳しく解説します。
お客さんの心理を利用した価格設定
お客さんの心理を利用した価格の付け方には、次のようなものがあります。
- 名声価格
お客さんは価格が高いものは価値があり、価格が低いものは価値が低い、と考えます。価値がよくわからないものの場合、高い価格を付けた方が商品価値が高まることがあります。 - 端数価格
「300円」「10,000円」などのキリの良い価格ではなく、「298円」「9,800円」のように端数にすることで、お客さんに安いイメージを持たせることができます。 - 段階価格
松竹梅のように、商品に「低価格・通常価格・高価格」と段階をつけて価格設定をすることで、安くも高くもない「通常価格」の商品を購入することが多い、という心理を利用します。「松:竹:梅」=「3:5:2」に分かれるという説があります。 - 慣習価格
自動販売機のジュースのように、価格がお客さんに定着している商品は、それにならって決められます。こういった商品は、値上げをすると極端に需要が落ちます。 - 抱き合わせ価格
ある商品と、別の商品をセットで買うと価格が安くなるように設定された価格です。購入されやすい商品と購入されにくい商品を組み合わせて、利益と販売数量を確保することが目的です。 - プライスライニング
お祝い事や・季節のあいさつのお土産など、ある程度価格帯が設定されているものは「2,000円」「3,000円」「5,000円」といったそれぞれの商品群を用意しておくことで、他店で「1,500円」の商品を選ぶ可能性が低くなります。
ここまでの内容を踏まえて、次の事例をみてみましょう。
価格の見せ方(事例)
次の画像は、とある菓子屋さんの「バレンタイン特設コーナー」の様子です。


陳列がそろっておらずバラバラなのは置いておいて、まず価格について、なにか思うことはありませんか?
- 価格帯がバラバラ
216円〜1,500円まで、さまざまな商品が並んでいますが、価格帯がバラバラです。200円台・500円台・800円台など、ある程度「バレンタインに需要のありそうな価格帯」に揃えて、商品を陳列すべきです。 - 端数がバラバラ
端数が16円・30円・50円などバラバラで、店員さんも混乱しそうです。端数も統一すべきです。
お店にあった商品を、ただひとつの袋にまとめて詰めて合計金額を足しただけ、というのがすぐに見てわかります。これでは、お客さんにとって選びやすいとは言えないですね。
また陳列は、左から「高い順に」、手前から「低い順に」など並べ方ひとつをとっても売れ行きに大きく関わってきます。
このように、価格はその決め方だけではなく「売り場」や「メニューブック」での見せ方も、とことん考えるべき大変重要な要素です。
価格の見せ方で考えるべきポイントは、こちらの記事で、詳しく解説します。
→(記事予定)価格設定のときに考えるべきポイント
また実際に価格を見直そうと思ったときは、こちらの記事も読んでみてください!
→(記事予定)価格を見直すタイミングと、その方法
ナカムラリョウ
これまでたくさんの売り場改善をしてきた経験上、ほとんどのお店は価格を「安くしすぎ」です。過小評価を見直して、価値があるものは適正価格で販売できるように考えてみましょう。
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